医師 求人 情報への対抗

入社3年目までの転職者を「第二新卒」といってもてはやす一方、「弱歳限界説」などといって転職するなら若いうちでなければいけないと煽り立てる風潮も見受けられます。 社会人になって数年で、「自分の道はこれだ」というものを見つけるのはなかなか難しいことでしょう。
したがって転職してキャリアアップしようとか、転職するなら若いうちに、などと言われると、ついその気になってしまう人が多いのかもしれません。 しかし、キャリアアップを目指して転職しても誰もが成功するわけではなく、逆にキャリアダウンになってしまうケースも多いのです。
そもそも転職は「しなければならない」ものではありません。 少なくとも、転職することで目の前の何かが解決するにちがいないといった、現状からの逃避のような転職はするべきではないというのが私の考えです。
若い世代の間で転職が流行する背景には、「先が見えない」という不安感からくる焦り、つまり早く自分に合った、能力を伸ばせる仕事を見つけなければ生き残れないという思いがあるのかもしれません。 高度経済成長からバブル経済の崩壊までの、いわゆる年功序列型賃金と終身雇用制が維持されていた時代には、サラリーマンとして会社に入り、ある程度仕事ができれば、定年までの一雇用が保障され、給料も年々上がっていくのが当たり前でした。
たとえ出世競争に敗れて昇進の目がなくなっても、会社にしがみついていれば給料は毎年増えていきましたから、リスクを冒して転職する必要はなかったのです。 しかしバブル崩壊後は、終身雇用制が崩れ、リストラという名の首切りが横行。
給料も年功序列型賃金から実績型へ、つまり成果を上げなければ給料も上がらない形に移行しつつあります。 一方で、それまで絶対潰れないと思われていた大企業の破綻が相次ぎ、サラリーマンも「気楽な稼業」とはいえなくなってきました。
「こういう生き方をすれば安全」と思っていたものが消えてしまったわけです。 また最近は「出世」に対しても、否定的な見方をする人が増えています。

会社の役員を見ても、自分のなりたい姿とは違うという若い人が少なくありません。 かつては、一流大学を出て一流の会社に入り、最後は役員になって定年を迎えるというのがサラリーマンの目標でした。
私自身も、サラリーマン時代は、「役員はいいなあ。 黒塗りの車があって」と思っていました。
偉くなればなっただけ責任も重くなって大変だなどといいますが、平社員だって楽なわけではありません。 どうせ大変な思いをするなら、黒塗りの車があった方がいいし、接待費もたくさん使えた方がいいでしょう。
しかし最近はコスト削減の嵐で、役員専用車などは真っ先に廃止になり、「なんだ、黒塗りかと思ったらタクシーじゃないか」とか「今度は常務まで電車通勤らしいぞ」という具合。 そうやって役員としての特典がどんどん削られていく一方で、当の役員たちを見ても、それほど働く喜びを感じているようにも見えません。
つまりサラリーマンとしての目標が見えにくくなってしまったわけです。 さらに、出世のために誠実さや人情といった人間性を犠牲にせざるをえない会社人間の悲哀や、責任逃れと自分の地位だけに執着する哀れな企業経営者、突然リストラされて路頭に迷う中高年の姿を見れば、若い人たちが「自分はこのままでいいだろうか」と、将来に対して漠然とした不安を抱くのも仕方のないことです。
将来に対する漠然とした不安と言いましたが、よくよく考えてみると、そもそも人間が生きていること自体に不安はつきものです。 たとえば道端や川原に転がっている小さな石にしても、岩のようなどっしりした大きな石にしても、石というのは、数千年ぐらいは、いまと同じように石として存在してきた、きわめて安定した存在です。

しかし私たち生きている人間というのは、せいぜい百年くらいしかこの世に存在できません。 しかも日々移り変わっている不安定な存在です。
このように、生きていること自体が不安定という前提に立てば、深層心理の中から何かしら不安感が出てくるのは、むしろ当たり前のことです。 その不安を生きる力へと上手に変換できるかどうかが、「人生の喜び」をつかむ鍵なのではないでしょうか。
その意味では「このままでいいのか」と不安を感じることは、少しも悪いことではありません。 むしろそう思わないと成長もないわけですから。
少々大げさに聞こえるかもしれませんが、私は、人が生き生きと生きられるということは、「宇宙の力を自分の力に変えること」なのだと思っています。 私たちはこの世界に、それぞれ一個の生命体として存在しています。
しかし、はるか昔、地球が誕生する前には、塵やガスのような混沌としたものとして宇宙空間を漂っていたはずです。 やがて地球ができ、生命が生まれ、さらに長い時間をかけて人間が誕生しましたが、ひとつの生命体がこの世界に存在している時間は、宇宙の営みから見ればほんの一瞬でしかありません。
すべての生命は、いずれは灰となって宇宙の一部分になり、また次の生命が生まれるという循環を繰り返し、この循環によって命は脈々と受け継がれていきます。 私が宇宙の力と呼んでいるのは、こうした命の流れを生み出したエネルギー、つまり生命の源泉のことです。
仏教では森羅万象、つまり私たちを取り巻く大自然そのものが仏であるという考え方がありますが、それと似ています。 宇宙の力などというと宗教めいて嫌だという人は、生命力と読み替えて構いません。
人間は基本的に、生きていることそのものが喜びであるはずです。 しかし生きていると、壁にぶつかったり、嫌なこと、上手くいかないことが起きたりして、苦痛や苦しみを感じることがあります。
そこでくじけて、やる気を失うこともあります。 本当は、すぐそばに宇宙の力が流れているはずなのに、それを上手く汲み取れないから、人間はくじけたり挫折したりするのかもしれません。

では宇宙の力を生きる力に変えるにはどうすればいいかというと、喜びを感じられるようなことをすればいいのです。 人は、自分が好きなことややりがいを感じていることに対しては、食事をとるのも忘れて夢中になるものです。
ビジネスーパーソンにとっては、仕事こそが宇宙の力を生きる力に変換する最も有力なコンバーター(変換器)だといえます。 いい仕事と出会うと、その仕事から生きる力をもらえて、喜びが感じられ、またやる気が出る、という具合に良い循環に入れるからです。
もちろん趣味で変換しても構いませんが、多くの人にとって、自分はこれに一生を賭けるというような趣味を持つのは、いい仕事に出会うよりも難しいのではないでしょうか。 仕事というものが宇宙の力を生きる力に変換するコンバーターであるとすると、転職は新しいコンバーターを見つける「旅」だと言い換えることができます。
その際、「いま、なぜ上手くいかないのか」を知らずに新しいコンバーターを買ってきても、寒いときにクーラーを買ってくるのと同じで、うまくいくわけがない。 「新製品ですよ」なんていわれて、「じゃ、それください」と買ってきたってダメなんです。
最近、これを勘違いしているビジネスパーソンが非常に多いように思います。 新機種のスペック(仕様)を見ると、お給料が上がりますよとか、あなたの経験や資格が生かせますとか、いろいろいいことが書いてあります。
でも使いこなすのは簡単じゃない。

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